視覚障害の認定基準

視覚障害の認定基準は、①視力障害、②視野障害、③その他の障害(まぶたの欠損、眼球使用困難症等)の3種類があります。
①、②、③の障害はそれぞれ単独で障害認定されてから併合して等級が決まります。
例えば、視力障害2級と視野障害2級がある人は併せて1級になります。

視力障害の認定基準

視力障害は、右眼と左眼の矯正視力を計測して判定されます。
1級 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
2級 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
3級 両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの
障害手当金 両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの
一眼(悪い方)の視力が0.1以下に減じたもの
ここで注意するのは障害手当金の等級です。
障害手当金は障害厚生年金だけにある最低の等級です。本来の障害手当金は病気の状態が固定しているもの、つまりこれ以上は良くも悪くもならないと言う意味で「治癒した」と表現されます。

しかし、これからさらに悪化するような場合は、障害手当金の程度でも障害厚生年金3級と判定されます。これを「治癒しない3級」と呼びます。

例えば、外傷性の網膜剥離で片方の視力が0.1以下になって症状固定されている場合は「治癒した」と言われて障害手当金になりますが、同じ0.1以下でも緑内障などの進行中の眼病でまだ悪くなる可能性がある場合は3級となります。

視野障害の認定基準

令和4年1月の認定基準改正で視野障害の1級が新設されました。
検査方法も従来はゴールドマン視野計だけでしたが、自動視野計が追加になり2種類の検査方法があります。
また、ゴールドマン視野計と自動視野計のどちらを選んでも、中心視野と周辺視野の両方を検査する必要があります。

ここで一番大事なのは、検査を受ける人の視野状態によって、どちらの検査方法を選ぶかで等級が大きく変わることです。ゴールドマンなら3級なのに自動視野計なら1級になる、その逆にゴールドマンなら1級なの自動視野計なら3級になることは普通にあります。

●自動視野計
1級 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
2級 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
3級 両眼開放視認点数が70点以下のもの
障害手当金 両眼開放視認点数が100点以下のもの
両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

●ゴールドマン型視野計
1級 両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
2級 両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの(旧基準の救済規定)
3級 両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下のもの
障害手当金 Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
2級以上になるには、原則として周辺視野と中心視野の両方がそろっていなければいけません。

しかし、令和3年までの認定基準では、「求心性視野狭窄または輪状暗点の状態の人は、中心視野が5度以内に収まっていれば、周辺視野は関係なく2級」になりました。この基準を改定で全て無くしてしまうと、それまで2級だった人がもらえなくなる可能性があるため、救済規定として残されました。
しかし実際の審査においては、求心性視野狭窄と輪状暗点は網膜色素変性症と緑内障の末期だけに適用され、他の病名では適用されませんので注意してください。

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